私は未経験から個人でハウスクリーニングを開業した一人です。
この記事では、難しい言葉をできるだけ使わず、「何から始めればいいかわからない人」向けに、開業までの流れを順番に書きます。
結論から言うとハウスクリーニングは資格がなくても始められます。お店を構える必要もなく、自宅と車があればスタートできます。ただし「掃除が好き」だけでは続きません。大事なのは、
- 最低限の技術
- 保険
- 集客
- お金の管理
この4つです。未経験の人は、いきなり全部やろうとせず、小さいところから始めるのが一番安全です。
まず知っておきたいこと
ハウスクリーニングは、お客様の家に上がって掃除する仕事です。
キッチン、浴室、トイレ、洗面台、換気扇、エアコンなどが主な依頼です。
需要はある仕事です。共働きの家庭、高齢の方、引っ越し前後の清掃、賃貸の空室清掃など、「自分では落とせない汚れ」を頼みたい人は多いです。
その一方で、誰でも始められるのでライバルも多いです。だからこそ、未経験のうちは次の考え方で進めてください。
- 最初から全部の掃除をやらない
- 最初から高い機械を全部買わない
- 最初から大きく稼ごうとしない
最初の目標は「月収100万円」より、「クレームなく10件終わらせる」です。ここまでできれば、紹介やリピートが出やすくなります。
独立の形は3つある
未経験の人が迷いやすいのが、ここです。
1. 完全に一人で開業する
自分の屋号で始めます。自由です。ロイヤリティもありません。その代わり、掃除も集客も経理も全部自分です。
2. フランチャイズに入る
研修や看板、集客の仕組みを使えます。その代わり、加盟金や毎月の支払いが発生します。
3. スクールや協会で学んでから独立する
技術を先に学び、自分の名前で開業します。未経験なら、これが一番現実的だと思います。
私の考えでは、掃除の経験がゼロなら「独学ですぐ開業」はおすすめしません。洗剤を間違えると、床や鏡、シンクを傷めることがあります。エアコンは分解を間違えると故障の原因になります。最初に少しお金と時間を使って学ぶ方が、結果的に安く済みます。
手順1:何をやるかを決める
最初に決めることは、道具より「誰に、何を売るか」です。
紙に書いてみてください。
- どのエリアで働くか(片道30分前後が現実的)
- 最初にやる掃除は何か
- 誰向けか(一般家庭、高齢者、不動産会社など)
- 週に何日働くか
未経験なら、最初は水回りがおすすめです。
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面台
- 換気扇
このあたりは依頼が多く、少しずつ慣れやすいです。エアコンは需要が高いですが、分解と水漏れのリスクがあるので、慣れてから追加した方が安心です。
「何でもやります」より、「まずは水回りを丁寧にやります」の方が、お客様にも伝わりやすいです。
手順2:掃除のやり方を学ぶ
必須の国家資格はありません。だからこそ、自分で技術を取りに行く必要があります。
学び方は3つです。
- ハウスクリーニングのスクールに通う
- 既存の清掃会社で短期間働く
- フランチャイズの研修を受ける
独学だけだと、洗剤の使い分けや養生、在宅での立ち居振る舞いが弱いことがあります。お客様の家では、きれいにすることと同じくらい「安心感」が大切です。
最低限、次は覚えましょう。
- 中性・アルカリ性・酸性の洗剤の違い
- 油汚れ、水垢、カビの落とし方
- 床や家具を守る養生
- 作業前の説明と、追加料金の確認
- 作業後の写真と報告
資格は必須ではありませんが、民間資格を取ると名刺やホームページに書けます。お客様から見ると、「何も持っていない人」より安心です。
手順3:いくらかかるかを知る
「少額で開業できる」は本当です。ただし、道具代だけ見ると失敗します。
目安はこうです。
- 車があって、自宅を拠点にする:50万円前後から
- 普通に一通り揃える:80万〜200万円くらい
- 車を買い、ホームページも作る:200万円以上
- フランチャイズ:300万円以上になることが多い
最初に必要なのは、だいたいこの4つです。
- 洗剤と基本道具
- 保険
- 集客費
- 2〜3ヶ月分の生活費・ガソリン代
一番見落としやすいのが、開業直後の生活費です。最初の1〜2ヶ月は仕事が安定しません。道具を買ったあとにお金が残っていないと、広告も出せず、現場にも行けなくなります。
車がある人は、最初の出費をかなり抑えられます。車がない人は、中古の軽バンなどを検討することになります。掃除道具はかさばるので、普通車でも始められますが、すぐ手狭になります。
手順4:最初に買う道具
最初から業務用の高い機械を全部買う必要はありません。
まずはこれがあれば、水回りは始められます。
- 掃除機
- マイクロファイバークロス
- スポンジ、ブラシ、ヘラ
- スクイージー(窓や鏡の水切り)
- バケツとスプレー
- 養生シート
- 脚立
- 手袋、マスク、ゴーグル
- 中性洗剤、アルカリ洗剤、酸性洗剤、カビ取り剤、クレンザー
あとから買うもので十分なのは、
- 高圧洗浄機
- 床用ポリッシャー
- エアコン専用の洗浄カバーやポンプ
です。
「全部揃えてから開業しなきゃ」と思うと、いつまでも始まりません。最初は基本セット、仕事が増えてから追加、で大丈夫です。
手順5:保険は先に入る
これはかなり大事です。
お客様の家で、床を傷つける、家具にぶつける、水を漏らす、ということは起こりえます。未経験のうちは特にそうです。保険がないと、その場で自分のお金から払うことになります。
開業前に、賠償責任保険に入りましょう。作業中に人や物を傷つけてしまったときの保険です。年間で数万円〜10万円前後が目安です。
お客様に「保険に入っています」と言えるだけで、安心感が違います。未経験者ほど、ここは先にやってください。
もう一つだけ注意です。お客様のゴミを有料で引き取って運ぶ場合は、別の許可が必要になることがあります。最初は、ゴミはお客様自身に処分してもらう方が安全です。
手順6:開業届を出す
家庭向けのハウスクリーニングなら、特別な営業許可は基本的にいりません。やることはシンプルです。
- 税務署に開業届を出す
- できるだけ青色申告承認申請書も出す
開業届は、事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。屋号も書けます。屋号があると、名刺や請求書が事業らしく見えます。
青色申告は、あとから税金で得しやすい制度です。開業届と一緒に出しておくのがおすすめです。白色申告でも始められますが、長く続けるなら青色の方が有利です。
難しいことを一気にやらなくて大丈夫です。最初は「開業届」と「保険」と「料金表」があれば動けます。
手順7:料金の決め方
安すぎると、自分が苦しくなります。高すぎると、最初の仕事が来ません。
目安として、一般的な料金感はこんな感じです。
- エアコン(通常):8,000〜15,000円
- エアコン(お掃除機能付き):17,000円〜
- キッチン:11,000〜20,000円
- 浴室:12,000〜20,000円
- トイレ:7,000〜13,000円
- 洗面台:6,000〜10,000円
- 水回りセット:3万〜6万円前後
未経験のうちは、相場より少し抑えめでもいいです。ただし、極端に安くしないでください。移動時間、洗剤代、やり直し対応を入れると、安売りはすぐ赤字になります。
料金表には、必ずこれを書いてください。
- どこまでが基本料金か
- どんなときに追加料金になるか
- キャンセル料
- 保険に入っていること
お客様が不安になるのは、料金のあいまいさです。「後から高くなった」と思われると、リピートは来ません。
手順8:仕事の取り方
未経験開業で一番つらいのは、掃除そのものより仕事が来ないことです。
最初におすすめなのは、この順番です。
- くらしのマーケットやミツモアなどの依頼サイトに登録する
- Googleビジネスプロフィールを作る
- 簡単なホームページか、SNSを始める
- 近所にチラシを配る
- 不動産会社へあいさつに行く
最初の10件は、儲けより実績です。写真付きの感想をもらえると、次のお客様が来やすくなります。
ホームページだけ作って待っても、最初はほぼ来ません。未経験のうちは、自分から取りに行く必要があります。
写真はとても強いです。作業前と作業後を撮って、許可をもらって載せましょう。きれいな言葉より、変化がわかる写真の方が creditable です。
私が大事だと思っている現場のコツ
技術より先に、これを守ると失敗しにくいです。
- 時間に遅れない
- 入室前に挨拶と説明をする
- 高いところや壊れやすいものは先に確認する
- 追加作業は、やる前に必ず聞く
- 作業後に一緒に確認する
- 小さな傷や不具合も隠さない
お客様が見ているのは、汚れが落ちたかだけではありません。「この人をまた家に上げてもいいか」です。丁寧な人は、紹介が出ます。会話が雑な人は、きれいにしても続きません。
よくある失敗
未経験の人がつまずきやすいのは、だいたいこれです。
- 勉強不足のまま難しい案件を受ける
- 保険に入らずに始める
- 安売りしすぎる
- 道具を買いすぎてお金が残らない
- 集客を後回しにする
特に危ないのは、エアコンとレンジフードの無理な受注です。需要があるからといって、見よう見まねでやると事故になります。自信がない作業は、最初は断っていいです。断れることも、プロの仕事です。
開業までの目安スケジュール
急ぎすぎなくて大丈夫です。3〜6ヶ月見てください。
- 1ヶ月目:エリアを決める、収支を書く、スクールを探す
- 2ヶ月目:技術を学ぶ、道具リストを作る
- 3ヶ月目:道具と保険を揃える、開業届を出す
- 4ヶ月目:料金表、名刺、依頼サイト、Google登録
- 5〜6ヶ月目:最初の仕事を取る、写真と感想を集める
本業がある人は、週末だけから始めてもいいです。最初から辞めて一気に開業すると、仕事が来るまでの不安が大きくなります。
最後に
ハウスクリーニングは、未経験からでも独立できる仕事です。
特別な学歴も、大きな店舗もいりません。
ただし、楽して稼げる仕事ではありません。地味に準備した人ほど、長く続きます。
やることはシンプルです。
- 最初のメニューを絞る
- 掃除の基本を学ぶ
- 最低限の道具と保険を揃える
- 開業届を出す
- 仕事が来る仕組みを先に作る
まずは紙に、「どのエリアで、何の掃除を、いくらでやるか」を書いてみてください。それが事業計画の第一歩です。完璧な計画より、小さく始めて、一件ずつ丁寧に終わらせることの方が大事です。
